なぜ人は眠るのか。その理由は今の科学ではわかっていないという。だが、睡眠不足は集中力などの低下を招き、ゆくゆくは健康を損なうことに。30年以上も不眠で悩み、病院通い、睡眠薬を欠かせなかったジャーナリストの“不眠治療ルポ”。 ◆◆◆ 不眠とは腐れ縁である。 不眠体質であることを自覚したのは高校生のころ。家族が寝静まる深夜になっても一人眠れずに過ごす夜が少なくなかったからだ。以来30年以上にわたって、不眠とどうにか折り合いをつけて生きてきた。 睡眠薬を飲み始めたのは2010年、45歳の時だった。ユニクロの取材で中国へ出張した初日のこと。取材がうまくいくのかどうかが心配で、一睡もできず朝を迎えた。これはまずい、と思い、帰国後、近所の内科医で睡眠薬を処方してもらった。それ以降、睡眠薬が手放せなかった。 午前3時、4時に目が覚めて、一睡もできず朝を迎える 不眠がさらに深刻になったのは、2014年。宅