日本の問題は、多くの生産年齢層の男性にとって職場が唯一のコミュニティーであること(写真はイメージです) metamorworks/iStock. <40代後半から50代の男性のうち、無業者は有業者の10倍の確率で自殺に傾きやすい> 自殺とは「孤立の病」と言われる。「人は集団に属さずして、自分自身だけを目的として生きることはできない」。フランスの社会学者デュルケムの『自殺論』の一節だが、あらゆる縁から隔絶された人間の自殺率が非常に高いことはよく知られている。 縁と言っても血縁や地縁などいろいろあるが、職業生活の比重が増している現在では職縁、すなわち職業集団に属しているか否かが大きい。デュルケムも、自殺の防止に際して職業集団の役割を強調している。国家などのマクロな集団と、家族などのミクロな集団の間にある中間集団だ。 19世紀末の西洋の学説だが、21世紀の日本にもこれは当てはまるのだろうか。筆者