戦後初期、内閣が倒れた二つの疑獄事件 占領下で始まった政界と特捜検察の闘い:戦後初期、内閣が倒れた二つの疑獄事件(1) 歴史 社会 政治・外交 2020.05.18 国会で二つの重要な審議が進んでいる。一つは新型コロナウイルス対策。もう一つが、内閣の判断で検察官の定年を延長できる「検察庁法改正案」で、成立は見送りとなった。検察の存在が注目されるのは、政界捜査で時の政権に切り込むこともあるためである。昭和20(1945)年の終戦からの10年間に二つの内閣が倒れた「昭電疑獄」と「造船疑獄」を連載で検証し、検察とは何かを考えていきたい。 ばらまかれた「復興マネー」 敗戦で焦土と化した国内を回り、国民を慰め、励まされた昭和天皇の巡幸は、終戦の翌年の1946年2月に始まった。巡幸の最初に選ばれたのは、食糧生産に不可欠な化学肥料を作る「昭和電工」の川崎工場だ。当時は餓死者が続出する深刻な食糧不足で、日