2008年8月13日のブックマーク (1件)

  • 言葉の風景

    平維盛は源平合戦のさなかに、夜中、一管の笛をたずさえて陣を抜け出し、琵琶湖に乗りだして竹生島に渡る。 すべて月光が演出する物影ばかりの景色である。竹生島に近づけば、茂る樹林が湖の澄んだみなもに映りこんでいる。 水中の幻影の樹林の中を実在の魚たちが泳ぎ、その虚実が織り成す世界を、船の上からのぞきこむと、魚が木に登っているように見える。 そして一風吹けば、鏡のような湖面にざわざわと波が立つと、景色はたちまち一変して、たったひとつの天上の月が、見渡すかぎりの波という波のそれぞれに映りこむ。 それは、月の中の幻影の兎が、波のおもおもに、はねとび走っているようだ。 その波に兎の走る光景というものは、時空をかけはなれた釈迦牟尼の説く質が、もともとだれの心にも映りこんでいるというのと何がかわろうか。 幻影に現実が混じり、現実に幻影が宿る。そのような自然のはたらきが、生きとし生け

    mittei-omasa
    mittei-omasa 2008/08/13
    「竹生島」に関して