日本が戦争へ突き進んだ昭和初期に川柳で反戦を訴え、当局に逮捕されて短い生涯を終えた鶴彬(つるあきら)(一九〇九~三八年)。その生き様をテーマとした演劇や映画観賞、講演会が相次いで企画されている。研究者らは、特定秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認の閣議決定が強行された現代と当時を重ね「鶴彬のように沈黙しない勇気が必要だ」と声を上げる。 (杉戸祐子) 「日中戦争が始まるころ、草の根の文芸の広がりを絶とうとする『言葉狩り』が広まり、鶴彬も逮捕された。今、国は着々と戦争へと進んでいるが、大衆の表現を黙らせてはならない」。二十日に東京都文京区で開かれた講演会で、文芸評論家の楜沢健(くるみさわけん)さんは訴えた。