現代の厄年なんじゃないと誰かが言った。その場に集まった人々の外見は無軌道に異なっていた。ふだんは接点のない者同士で、ただみんな本が好きなので、本の話をしようとして来たのだった。それぞれが初対面であったり、そうでなかったりした。 そうして誰かが言ったのだ。二十八って現代の厄年なんじゃないの。カトウくんそう思って乗り越えなよ、俺も二十八のとき仕事で大失敗して死んでやろうかと思ったもんね死ななかったけど、それでマキノさんは、ほら前に言ってた、一年間で三回交通事故に遭ったってやつ、あれ二十八くらいだよね、ほかの人も、なんか、ない。 どうやら二十八歳のカトウくんが今現在ひどく辛い目に遭っているために、二十八歳厄年説を裏づける話が募集されているらしかった。二十八からひとまわりが過ぎたというシライシさんがそのころの大失恋の話を披露してみんながそれに頷き、シライシさんは次の人を指名する。ケイタもあるでしょ
![周回遅れの証拠 - 傘をひらいて、空を](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)