── 2020年以降は、どのような動きがあったのでしょうか? 2020年にアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルが国交を正常化しました。これ以後、湾岸諸国やアラブ諸国の間でイスラエルとの関係を見直し、正常化に向かう動きが進みました。これをユダヤ教、キリスト教、イスラーム教に共通する預言者アブラハムにちなんでアブラハム合意と呼びます。アメリカのバイデン政権は、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化に向けた交渉を仲介し、サウジアラビアがイスラエルとの国交を正常化すれば、アメリカはサウジアラビアの安全を保障すると確約していました。 サウジアラビアのサルマーン国王周辺は、1967年の戦争以前の国境での二国家共存によってパレスチナ問題を解決し、アラブ諸国がイスラエルを承認して国交正常化する、という2002年アラブ平和イニシアチブの原則に変わりがないことを一貫して明言しています。しかし、ムハンマド皇太