発達障害の子どもが増えたわけではない 10年前の調査で6.5%という数字が出たときに、少なすぎるのではないかと感じていましたので、今回の8.8%という報道を知っても、特に驚きはありません。私は厚生労働省の研究班の研究代表者として、文部科学省とは別に調査を行ったことがあるのですが、そちらの調査では以前からこの程度の数字が出ていました。そのため、発達障害の子どもがこの10年間で増えたとは思っていません。 今回の報道により、「昔よりも発達障害の子どもが増えた」と思った方がいるかもしれませんが、実数が本当に増えたとは言えません。私は1990年代に自閉症の疫学調査に関わってきました。1980年代までは自閉症の人のうち、知的障害がある人が8割、ない人が2割と言われていたのです。ところが、私たちの調査によって知的障害がない人が当時の想定よりはるかに多いことが証明され、そのことを世界で初めて報告しました。