「キャッシュレスを学ぼう」シリーズの三回目は、資金移動業についてである。現行の資金決済法(資金決済に関する法律)では、資金移動業とは、銀行以外の者が為替取引(ただし、政令で定める金額(100万円)以下に限る)を業として営むものとされている(資金決済法第2条第2項)。 もともと為替取引は銀行の排他的固有業務とされている(銀行法第2条第2項)が、この銀行法の規定に例外を設ける形で、資金移動業は定義されている。 ところで、為替取引については資金決済法上も銀行法上も、いずれも定義がない。この点、最高裁判所は、為替取引とは、対面していない者(隔地者)の間で、現金の受け渡しによらない手段により資金移動をすることを受託し、遂行するものと判示した(平成13年3月2日)1。簡単に言えば、東京にいるAさんから、大阪にいるBさんに対して、現金送付以外の方法による送金を仲介することが為替取引にあたる(銀行における