いつもは止まり木の上から来園者を横目で見るだけのオオワシは、珍しく地面にいて、こちらの姿を認めると、翼をバタつかせて「クエッ、クエッ」と高らかに啼いた。レアな瞬間に秘かに喜びを覚えつつも、ちょっと離れた屋内施設の中で吠えるライオンの声まで聞こえるほどの“静寂”に嫌でも気づかされる――。 ここは札幌市民の憩いと学びの場であり、観光名所としても知られる札幌市円山動物園。本来なら家族連れでごった返すはずのゴールデンウィーク初日だが、園内に人影はない。全国の他の公共施設と同様、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、4月14日から休園を余儀なくされているからだ。同園の場合、2月に北海道独自の緊急事態宣言が出されたのを受けて、3月1日から31日までの1カ月間、すでに一度休園しており、4月1日から再開園したところで、再び休園となってしまった。 円山動物園は昭和26年創業だが、冬季開園が始まった昭和4