2019年12月19日のブックマーク (1件)

  • 紅旭の虹 - 承前

    坡(は)とは坂道や斜面のことである。南部南西部に連なる連山のひとつヴィオティア山脈には山を穿(うが)つように一の道が貫いている。 両側を切り立った崖で挟まれ曲がりくねるその山道は、天から堕ちてきた龍が大地に潜んだ痕だという神話を持ち、潜(せん)龍(りゅう)坡(は)と呼ばれ、天下の険として知られていた。 「潜龍坡を越えても敵影なし」 偵騎は予想に反して一人も欠けることなく帰還した。 ならば敵との距離はおよそ三舎(しゃ)。僕はすばやく頭の中の地図で敵との距離を割り出す。 舎とは建物を意味する。軍で使われるときは兵舎を指す。転じて兵舎を建てる距離、すなわち軍隊が一日に行程する距離をも指す。一舎は約15キロメートル、三舎は約45キロだ。 昨日は敵との距離は四舎だった。我々が一日で一舎進んだ以上敵も進むと考えると、普通なら二舎に縮まるはずだ。とすれば敵は何故か潜龍坡を目前にして足踏みしたということ

    紅旭の虹 - 承前
    mizumiyako
    mizumiyako 2019/12/19
    紅旭の虹 主人公よりわき役が素晴らしい 転移戦記物