3月11日に三陸沖を震源として起き、国内観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した東北地方太平洋沖地震──。 公共交通システムの安全問題に関する第一人者で、JR福知山線の脱線事故などで再発防止策を積極的に提言してきた安部誠治・関西大学社会安全学部教授は、発生時に仙台市内に居合わせ、1995年1月の阪神大震災に続いて2度目の震災を体験することになった。 地震が現地の交通システムに与えたダメージや教訓については、詳細な分析が終わった後に改めて解説していただくが、今回はまず現地で体感した第一印象を語ってもらった。 3月11日午後2時46分。今回の大地震が発生した時、私はJR仙台駅から南へ歩いて20分ほどのところにあるホテルにいた。そこで国土交通省東北運輸局が開いたタクシー関係の会議の座長を務めていたのだ。その討論の最中に激しい揺れに襲われた。 1995年1月に起きた阪神・淡路大震災の時は、震源