松江市内中原町の島根県立図書館の蔵書が、一年間で四百三十四冊も所在が不明になっている。大部分が勝手に持ち出されたとみられ、ページを切り抜くなどの悪質な手口も。同館は利用者のマナー低下に憤っている。 九月下旬の蔵書点検で判明した。貸し出し記録がないのに本が不明になる被害が多いのは、写真集や江戸川乱歩全集などの最初の数巻、雑誌が多いという。雑誌や新聞は特定のページだけ切り抜かれる事例がある。 持ち出し防止策としては、本に磁気シールを取り付け、出入り口のゲートで感知・警報を鳴らす方法が一般的だが、六十六万冊の蔵書がある同館では装置の導入に数千万円の経費が必要。当面は利用者のモラルに頼るしかないという。 同館では、被害に遭って再購入した人気の本は、フロアに並べずカウンター内に保管する自己防衛策も取っている。資料情報グループの大野浩主任司書は「他の利用者が借りることができなくなる。自分勝手な行