エメラルドゴキブリバチ(Ampulex compressa)は、ゴキブリの脳に針を刺し、その意思決定過程をのっとる特殊な毒を注入する。(PHOTOGRAPH BY ANAND VARMA, NATIONAL GEOGRAPIC CREATIVE) 研究者たちは長年にわたり、自然界の毒を有効利用しようと努力してきた。米カリフォルニア大学リバーサイド校の昆虫学と神経科学の教授であるマイケル・アダムス氏もその1人だ。このたび、ゴキブリをゾンビ化させる寄生バチの毒を新たに特定した氏の論文が、1月19日付けの科学誌「Biochemistry」誌オンライン版に発表された。(参考記事:「生物の毒が人間を救う」) エメラルドゴキブリバチ(Ampulex compressa)は、ゴキブリに毒液を注入して、意のままに操ることができる寄生バチだ。 このハチが宿主を確保するときには、まずはゴキブリの胸部を刺し、毒