私は、何を隠そう原子核工学の出身である。修士課程の2年間、大阪の熊取町にある京都大学原子炉実験所で研究を行った。ちょうどチェルノブイリの原発事故が起きた頃だ。 大学卒業後、日立製作所に就職し、半導体技術者に転身した。それから25年も経ってしまったが、少なくとも原子炉がどのようなもので、現場がどのような環境であり、そこで行われる作業がどのくらい危険なものかは理解しているつもりだ。 本稿では、原子核工学出身の半導体技術者として、今回の福島原発事故に対する意見を述べたい。 作業者を見殺しにするな 福島第一原発では、極めて過酷な環境下で数百人の作業者が事故対策に当たっている。3月28日、保安検査官事務所の横田一磨氏の報告によれば、作業者の食事は1日2回(ビスケットとアルファ米だけ)、夜は毛布1枚で雑魚寝であるという。また、4月1日の報道によれば、放射線の被曝量を測定する線量計はグループで1~2個し
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