月探査機かぐやが観測した月の表側(左)と裏側の画像。表に黒っぽい部分が多いのに対し、裏はほぼ白く見える。「雨の海」「南極エイトケン盆地」はいずれも巨大隕石衝突でできた盆地=産業技術総合研究所提供 月の表面のうさぎ形の模様ができたきっかけは、39億年以上前に巨大な隕石(いんせき)が衝突して盆地ができたためであることを、産業技術総合研究所の中村良介研究グループ長らが確認した。月探査機「かぐや」のデータの分析で、隕石の衝突で生じる特殊な鉱物を検出した。これまで仮説が提唱されていたが、実測データでの裏付けは初めてという。ネイチャー・ジオサイエンス電子版に29日、論文が掲載される。 隕石の衝突時に生じやすい、カルシウム分が低い鉱物「低カルシウム輝石」の表面の分布を調べた。すると、分布は隕石の衝突跡と見られてきた「プロセラルム盆地」に重なり、広さは月の直径(約3500キロ)に迫る直径約3000キロに及