(2010年6月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 中国人労働者にとって、先日、多国籍企業の大手メーカー2社が同意した2ケタの賃上げは、ほろ苦い勝利だった。 中国南部の広東省にあるホンダの部品工場でストを実施していた従業員は、当初50%の賃上げを要求していたが、月給1900元(280ドル)への24%の給与増額で妥結した。EMS(電子製品の製造受託サービス)世界首位の鴻海精密工業は、中国南部の大型工場で従業員の自殺が相次いだ後、給与を30%引き上げた。 「こうした大きな上げ幅は、これまで賃金がいかに低かったかを示している」。香港に拠点を置く「中国労工通訊 (中国労働者通信)」代表の韓東方氏はこう話す。「企業は利益率が極めて低いと不満をこぼしているのに、突如、30%も賃上げする余裕ができたというのか?」 安い労働力に頼ってきたメーカー各社、賃上げが大幅な減益要因に だが、企業側にとって先日