京都で約260年、日本画用の絵の具を作り続ける上羽絵惣(うえばえそう)。こだわりの手作業が画家に支持されてきたが、近年は経営危機に直面していた。窮地を救ったのは、ホタテの貝殻から作る日本画の顔料「胡粉(ごふん)」を使ったマニキュアだった。爪に優しいと、多くの女性から人気を集めている。 京都の老舗の商店などが並ぶ京都市下京区燈籠町。「繪(え)惣」と書いた木の看板を掲げた木造2階建ての町家が上羽絵惣の社屋だ。1751(宝暦元)年の創業以来、ずっとこの地で絵の具屋を営んできたという。 店内で、従業員が女性客に「胡粉ネイル」を紹介していた。シンナー系の有機溶剤を使わないため、マニキュア特有の刺激臭が無く、消毒用アルコールで落とせるのが特長だ。