人生の最期をどこで迎えるのかは、だれにとっても少なからず気になることだ。病院か、自宅か......だが、銀行のロビーで終わりの時を迎えるなんて、偶然でなければほとんどあり得ないことだろう。しかし、中国では最近、その「あり得ない」はずのことが偶然とはいえない形で起こり、社会に衝撃が走った。 銀行のロビーで息を引き取ったのは広東省高州市のトウさん(69)。9月27日のことだ。トウさんはその日の朝、脳卒中を起こした。病院に行くため、トウさんの息子は父の預金がある信用金庫が開くのを待って出かけていった。しかし、窓口で拒否される。中国では最近、身分証明書の切り替えが行われているが、手続き上の手違いでトウさんの身分証明書上の名前の表記が、古いものと新しいもので微妙に違っていたためだ。 そこを補うための別の証明書の取得を求められ、息子は走り回った。一度ではない。一つ証明書をそろえる度に、また次の証明書を