山田太一作品は、「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」「獅子の時代」「異人たちとの夏」など、有名な作品が数え切れなくあるのですが、その中で私は、ちょっと異色の「早春スケッチブック」が好きです。 ドラマは、ごく普通のサラリーマン家庭に起こります。父親役が河原崎長一郎で、妻役が岩下志麻。息子の和彦役が鶴見辰吾、娘の良子役が二階堂千寿。 ところで、この息子の本当の父は、母と結婚せず、母は一人で息子を生み、十年前に今の父と結婚したという設定です。そんな中に、本当の父が息子の前に現れ、ドラマが展開していきます。この本当の父を山崎努が演じたのでした。 最初は、和彦役の鶴見辰吾と本当の父役の山崎努が出会い、だんだんと打ち解けて友だちのような関係になります。山崎努は、鶴見辰吾に「ありきたりだ」などと言い、鶴見辰吾自身も言われてみればその通りみたいな感じで、ひきつけられていきます。そのうちに母に本当の父と