旅先で『シャンタラム』を読む至福を味わったので、その感想をすこし。 著者のグレゴリー・デイヴィッド・ロバーツは1952年にオーストラリア・メルボルンに生まれ、17歳で“アナキスト人民自由軍Anarchist People’s Liberation Army”を創設、労働運動や反ファシズム運動を経てメルボルン大学の学生運動のリーダーとなるも、24歳のときに離婚で娘の親権を失い、その精神的衝撃で重度のヘロイン中毒に陥ってしまう。 ヘロインを手に入れる金に窮したローバーツは銀行を襲い(被害が保険で補償される金融機関だけを選び、スリーピース姿で“Please”と丁重に金を要求したので“紳士強盗Gentleman Bandit”と呼ばれた)、26歳で逮捕。重警備の刑務所に送られたが、看守による暴力と自由を奪われたことに耐えられず2年後に白昼堂々と脱獄、暴走族やかつての革命仲間に助けられてニュージーラ