モーツァルトが僅か35歳で亡くなったのが、今から229年前の1791年12月のこと。そして、その2か月前に完成したのが《クラリネット協奏曲》です。彼による協奏曲のジャンルで最後の作品となったこの曲は、親しい友人のクラリネット奏者シュタートラーのために書かれたといわれます。純粋、純白で透明感のある曲想から、モーツァルトの「白鳥の歌」と呼ばれることもあるそうです。 クラリネットという楽器が、面白いというか不思議だと思うのが、同じ木管楽器のオーボエは低音から高音にいたるまでほぼ同じ音色であるのに対し、クラリネットは低・中・高それぞれの音域で音色が大きく変わります。知らない人が聴いたら別の楽器が鳴っているのかと思うほど(私も最初そう思っていました)。作曲当時、クラリネットはまだ登場して間もない新しい楽器だったそうですが、その特徴を駆使し、まことに表情豊かな曲に仕上げているのは、さすがモーツァルトで