1977年ごろ、デヴィッド・ボウイとイギー・ポップは、ベルリンに滞在していた。その頃のベルリンは、アーティストたちにとって、20世紀初頭に起こった「ドイツ表現主義」が見直されていた時期だと聞いている。 この年の2月、3月、デヴィッドはベルリンのスタジオでイギーの「イディオット」のレコーディングに協力して、イギリス・ツアーにも同行した。 そして、4月22日、イギーのプロモーションのため、イギーとともに来日した。 彼らが滞在した2週間は、私にとっても、すばらしく楽しいものだった。 鋤田さんが、デヴィッドとイギーの撮影をすることになった。 前日、私はデヴィッドに電話をして、「明日の撮影の衣装はどうする?」と訊ねた。 「とにかく、黒の革のブルゾンを何着か集めておいて」 「それだけでいいの?」 「いいよ」とのことだった。 次の日、ホテルに迎えにいった私は、道順に関してちょっぴり、工夫した。 彼らが目