背中から、聞こえてくるはずのない言語が耳に入ってきた。まったく予期せぬ響きに思考が追いつかない。アイスコーヒーだと思ってウーロン茶を飲んでしまい、一瞬、何の飲み物だかまったくわからなくなる感覚と似ていた。 徐々に冷静さを取り戻す。 韓国語? なんで? ミックスゾーンへたどり着くなり、旧知の記者に尋ねた。 「京都国際の校歌って、韓国語なの?」 すると、こう呆れられた。 「何を今さら……」 京都国際が初めて甲子園の土を踏んだのは2021年の選抜大会だった。そこで初勝利を挙げ、続く夏も甲子園に出場し、今度は3勝した。 3年前は新型コロナの影響で厳しい入場制限がかけられていたとはいえ、すでに4度、韓国語の校歌が甲子園に流れ、それなりに話題になっていたようだ。 私はいずれの大会も取材に行ってない。しかも、その年は大きな週刊誌連載の原稿に追われ、ほとんどテレビも新聞も見ていなかった。そのため、まったく