人間が逃れられない死に対する不安を、ニヒリスティックにアイロニカルに描いてきた漫画家・しりあがり寿。3.11直後、多くのアーティストが何をすべきか迷っていた時に、すぐにペンをとり震災をテーマとした漫画を描き続けた。あれから1年半。原発事故は解決せず、その糸口も見つけられない現在の状況を、彼はどのようにみているのだろうか。 ——3・11の後、すぐに震災をテーマに漫画を描かれていたんですね。 「新聞に4コマ漫画の連載(『地球防衛家のヒトビト』)をやってて、締め切りがくるからしょうがないですよね。震災の翌日にこれ(『あの日からの漫画』の表紙)を描いたんです。やっぱり地震のことを描かないわけにはいかなかった。時事漫画なのに、なかったように描くっていうのもねぇ」 ——そうもいかないですよね。 「その時は、何かを整理して結論を伝えたり、感じたことを加工して出すより、鏡みたいに来たものをそのまま反射しち