新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、クラスター(感染者集団)が発生した宮城県内の施設の関係者が河北新報社の取材に応じた。男性経営者は見知らぬ人からの差別的言動に心を傷つけられた体験を語った。ウイルスとの共存を迫られる「withコロナ」時代。差別や偏見という見えない暴力の撲滅が重い課題としてのしかかる。 事業所の男性経営者がコロナ禍に見舞われたのは、感染対策を始めていた4月初旬。従業員が感染者の濃厚接触者に当たると保健所から連絡があった。PCR検査の結果、従業員と、従業員が接した顧客の陽性が複数判明。自治体の発表に至った。 その後約1カ月間、攻撃的な内容の電話やメールが30件近く届き、男性は「精神的に打ちのめされた」。 「コロナをまき散らしやがって」。電話口の男性にののしられた。「謝れ」「(従業員は)当然クビ」と強要され、顧客に危険が及ぶことを心配した。 一連の感染の起点は繁華街の飲食店だっ
<自主避難者訴訟>「何で来たの 福島の避難者はみんな身勝手」差別的発言に苦痛訴え 東京電力福島第1原発事故による山形県への自主避難者ら735人が、国と東電に総額80億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の第26回口頭弁論が15日、山形地裁であり、自主避難者ら5人が原告本人尋問で、周囲の差別的な言動に苦しんだ体験を語った。 子どもと共に福島市から山形市に自主避難した40代女性は、山形県危機管理課の臨時職員に採用。引き継ぎの際、前任者から「何で来たの。福島の避難者はみんな身勝手」と言われた。 長女が山形市の公立高に合格し、当時通っていた山形市の中学校に点数を報告した際も、教員から「お前は避難者なんだから、こんなに点数を取らなくても合格できたのに」などと告げられ、長女が深く傷ついたという。 妻子と共にいわき市から酒田市に避難した40代男性は、原発事故直後に避難したことについて、勤務先の会社から「責
<避難解除>帰還求める楢葉町 困惑の職員 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除を迎えた自治体の職員は、職務と生活のはざまで悩む。今春を「帰町目標」に掲げる福島県楢葉町では、職員が町当局に帰還を強く求められている。町は歳出抑制を理由に通勤手当の削減も検討する。率先垂範を迫られた職員にも長期避難で生じた家庭の事情があり、困惑が広がっている。 楢葉町は2015年9月に避難指示が解除された。今年4月には小中学校が町内で再開し、帰町者が増えるとみられるが、今月3日現在では818人、帰還率11.1%にとどまる。 町によると、本庁舎の職員約100人のうち町に住むのは35人ほど。子どもの学校や親の介護・通院といった家庭の事情、自宅の修繕遅れなどで、福島県いわき市に避難を続ける職員が多い。 松本幸英町長は今年の年頭訓示で「職員は町民の先達として早期に避難生活から脱却し、町内での自立した生活を示す立場
福島県と県内市町村の職員の自殺者が2016年度だけで9人に上ることが7日、自治労福島県本部のまとめで分かった。うち5人は今年1~2月に集中していた。 東日本大震災と東京電力福島第1原発の複合災害への対応に追われていることなどが背景にあるとみて、県本部は「心のケアが急務だ」などと指摘する。 県本部によると、自殺者数は各市町村共済組合などを通じた調査で分かった。9人のうち県職員は2人。およそ半数が20代後半~30代半ばという。 避難区域を抱える双葉郡8町村と南相馬市、飯舘村の労組組合員を対象に昨年3~5月に実施した調査では、時間外勤務が月平均31時間以上との回答が38.0%に上った。200時間以上の職員も2人いた。全体の56.1%は通院や薬の服用をしていた。県本部は「異常な事態で早急な対応が必要だ」と強調。被災地自治体の職員専用電話(通話無料)を開設しており、「相談してほしい」と呼び掛けている
東京電力福島第1原発事故による避難指示が帰還困難区域を除いて4月に解除される福島県富岡町で、町職員が長距離通勤に不安を抱いている。町内の本庁舎での業務が6日に再開。仮役場のある福島県郡山市周辺に生活拠点を移した多くの職員が通う。郡山-富岡間は車で片道約2時間。町は6日から通勤バスを運行するが、職員からは「いつまで体が続くか」といった声が出ている。 町によると、町職員は全体で約140人。現在の郡山勤務者ら新たに約90人が4月から町内勤務となる。郡山-富岡間は国道288号など一般道で90キロ前後、常磐自動車道などを利用するルートで約130キロ。通勤バスは渋滞の少ない一般道を走る計画だ。 約90人全員が乗車できるよう、町は大型2台の運行をバス会社に委託。悪天候を想定し、マイカー通勤者も乗車可能にする。所要時間は三春町での停車を含め片道2時間20分。富岡行きは午前6時に町役場郡山事務所を出発する1
ダルマみこしが繰り出した「ダルマ市」。全国に避難する福島県双葉町の町民が再会する貴重な場だ=8日、いわき市 東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県双葉町の町長選が19日、告示される。第1原発が立地し、除染廃棄物の中間貯蔵施設が造られ、帰還困難区域が96%を占める。町民は38都道府県に散る。最も厳しい環境といわれる町の将来は描けるのか。新たな任期4年は町の存続を懸けた最初の正念場となる。(いわき支局・古田耕一) ◎存続を懸けて(下)分散 <「持ち家」過半数> 福島県双葉町の町民が避難生活を送るいわき市南台の仮設住宅広場で7、8の両日、町に江戸時代から続く「ダルマ市」が開かれた。東京電力福島第1原発事故で38都道府県に散る7000人の町民が今、最も多く集まる場だ。 巨大ダルマ引き合戦、新調したダルマみこし、太鼓や神楽などの郷土芸能。「久しぶり」。あちこちで町民が再会を喜び合った。
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