「集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険(仲正昌樹)」(参照)はけっこう前に読んだ本だが、この本、失礼な言い方になるのをおそれるが、著者の考えが明示的に書かれた本というより、学習参考書というか事典といったタイプに見える書籍なので、便利ですね、お得ですね、という以外なかなか書評しにくいところがある。 もちろん、現代アメリカのリベラリズム思想の系譜をこれだけきちんとまとめるには、独自の視点が必要だということは当然なのだが、その視点とは何かと考えると、仲正氏の資質でしょうというのも拙いし、日本人的な微妙な立ち位置でしょうと言うのも自分が馬鹿みたいに思えるものだ。加えて、本書に紹介されている各種書籍を私が網羅的に読んでいるわけでもないので、所詮アマチュアが何を言うか、吉本隆明主義でもぶち上げますか、みたいなさらにお馬鹿みたいな話になりかねない。 とはいえ、ざっと読み直したのは、昨日のエント
本書「今こそアーレントを読み直す(仲正昌樹)」(参照)のテーマとなるハンナ・アーレント(Hannah Arendt)は、1906年ドイツ生まれのユダヤ人政治哲学者だ。名前からわかるように女性で、若いころは彼女の先生だった哲学者ハイデガーと濃い師弟関係もあった。後年ナチス政権を逃れ、フランスを経て1941年に米国に亡命した。その後米国で英語での主要著作をなし、1975年、期待される大著執筆の途中、68歳で没した。 彼女の思索が注目されたのは、その経歴の刻印にも関係するが、ナチスという政治体制を筆頭に、20世紀の全体主義体制をどのように考えたらよいかという課題に、独自の議論を展開したことによる。その独自性の意味合いと、彼女の最終的な思想の帰結について、本書「今こそアーレントを読み直す(仲正昌樹)」は、新書として軽い文体で書かれているものの、明確に描き出していて読み応えがあった。私はアーレントの
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