お盆休みの方も多いこの時期、大きな話題を呼んでおります『三体』を、ぜひこのタイミングで読もうとしている方もいらっしゃるのでは。本欄では、7月に八重洲ブックセンター本店にておこなわれた、『三体』翻訳者の大森望さんと、『三体』著者劉慈欣とも関係の深い作家・藤井太洋さんのトークイベントを再録します(SFマガジン2019年10月号掲載)。満員御礼だった本イベントの貴重な採録、ぜひお楽しみください。 『三体』大森望×藤井太洋トークイベント採録 ■劉慈欣と中国SF 大森 本日はたくさんの人に来ていただいてありがとうございます。キャンセル待ちも出ていたそうで。中国SFがそれだけ盛り上がっているということですね。 藤井 これほど『三体』が売れるとは、私も正直思っていませんでした。 大森 全世界で三部作2900万部が売れているという。とはいっても、中国語で書かれた本格SFの長篇小説が日本語に訳されること自体
当然「ケーキの切れない非行少年たち」は、等分ができない非行少年たちの無知を嘲笑うような本ではありません。なぜ彼らが常識外の行動や思考をしてしまうのか、その認知の歪みに迫る本です。 「ケーキを切れない非行少年たち」、そもそもの認知機能に問題あるゆえに世の中が歪んで見えてしまった少年たちを、一般的な教育以外の方法でどう救っていくかという本なのに、Twitterではタイトルやバズったツイートだけ見て、非行少年たちの常識や教養のなさをバカにし見下す人がたくさん居る — にゃるら (@nyalra) August 15, 2019 興味を惹かせるためのキャッチーなタイトルの代償でもありますが、本書に対して非行少年への怨みつらみやをぶつけたり、彼らの素行の悪さを嘆くのは間違っています。なぜなら、非行に至るまでには必ず理由があり、善悪の前に因果や動機を紐解く必要があるからです。上記のツイート、タイトルを
「よくぞ言ってくれた!(中略)大体、発言力のあるタレントさんが、絶対に反論できない弱い立場の人達を叩きまくる、現在の地上波の弱い者いじめの加速には、心からうんざり」(田中紀子「ギャンブル依存症問題を考える会」代表) 「公党の党首ですので、番組で発言させればよいのでは」(紀藤正樹弁護士) 日頃「水に落ちた犬」を叩きまくったり、マイナー政党を無視しがちなテレビへの嫌悪感を抱く人は少なくなく、こうした擁護論が出ることも、立花氏にとっては計算のうちだろう。 巨大な既得権者に挑む構図 NHKという巨大メディアに挑むドン・キホーテを演じることで一定の票を得た立花氏の手法は、既得権益者・エリート層を「ぶっ壊し」たり引きずり下ろしたりする「下克上」を訴えて人々の関心や支持を集めるポピュリズムそのものと言える。TOKYO MXは地方局だが、それでも東京のテレビ局であり、各局で冠番組を持つマツコ氏を含めて既得
献花が絶えない京都アニメーションの事件現場(撮影・今西憲之) 35人が死亡、35人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件は、18日で発生から1カ月を迎える。お盆も炎天下の中、献花台を訪れる人の列は絶えず、現場となった第1スタジオは悲しみに包まれている。 【写真】青葉真司容疑者 8月8日には青葉容疑者に対し、殺人と住建造物放火等の容疑に加え、重軽傷を負った35人への殺人未遂容疑も追加された逮捕状が出た。だが、青葉容疑者は今も病院で治療を受けている。 「重篤な状況ではあるが、呼びかけにも反応があるので、落ち着きつつある。だが、とても話を聞けるような回復状況ではない。事情聴取は、あと数カ月、かかりそうだ」(捜査関係者) そんな状況ゆえ、青葉容疑者がなぜ、あそこまでの犯行に及んだのか、いまも動機はわからない。本誌は青葉容疑者の凶行の動機を解く“鍵”を握る人物に取材することができた。 「青葉
現代美術の展示が放火テロ予告で脅かされ、観客とスタッフの命が危険に晒されて中止を余儀なくされた。並行して主催者側には業務妨害と脅しを意図した匿名電話やメールが殺到し、電話応対した若い女性スタッフの名前・住所や顔写真までネット上で侮蔑の意図も露わに「晒され」た。ネットを利用した匿名の、悪質な言論テロの結果である。 客観的にいえば、現在開催中の「あいちトリエンナーレ」(10月14日まで、名古屋市、豊田市ほか)で起きたことの事実関係は、このようになる。付け加えるなら、名古屋市長つまり政治家が、その展示を非難攻撃する扇動的な言動を公然と繰り返す中で起きたことだ。 現にたとえばトリエンナーレの招聘アーティストが連名で発表した声明は、事件をこのように要約しているし、海外で報じられる際の概要も同様になるだろう。しかし客観的に見ればこうも危機的な事態に対する日本社会の反応は、マスメディアも政治も、SNSな
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