(CNN) 「ベトナム戦争を扱う米国の芸術的、文化的作品の大半は、たとえ反米的な批判を盛り込んだものであっても、米国人をしっかりと物語の中心に据える。それは確固たる信念の下、露骨に行われる」。作家のビエト・タン・ウェン氏は、2016年の著書「ベトナム戦争と戦争の記憶」でそう書いている。この格言は、ハリウッドが手掛ける戦争映画のほとんどに拡大できるだろう。米国人が戦争をどのように感じようと、主たる目的は大抵の場合、米国人特有のトラウマ(心的外傷)として戦争を想像、体験することに他ならない。 アレックス・ガーランド監督の映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を巡る論調は、米国における現行の党派的分断に向けた省察並びに警告だとする内容が大半を占める。それも無理はない。監督本人が複数のインタビューで示した構図に照らせばなおさらだ。同監督はそこで、現在の左派と右派による国内の分裂を「極めて危険」と
