イスラエルのネタニヤフ首相らに対し、国際刑事裁判所(ICC)の検察局が5月20日、逮捕状を請求したとのニュースは世界を揺るがした。ホロコーストを経て誕生した国家に、国際人道法違反の嫌疑がかかる事態をどう考えるべきか。ICCと日本をつなぐ活動に取り組んできた菅野志桜里・国際人道プラットフォーム代表は「法の支配」の貫徹を強く訴える。 現代の国際社会は、民主主義国と権威主義国の分断が進むとともに、米中主導の二項対立から距離を置こうとする国家群も少なくない。その結果、世界には幾つもの「ミシン目」が生まれ、放置すれば裂けてしまう危うさをはらんでいる。 「法の支配」が担うのは、こうしたミシン目を包摂し、再び結びつける役割だ。とりわけ国際法違反のコアクライムを処罰・抑止するICCは、「法の支配」における最後の砦と呼ぶべき存在である。 ホロコースト根絶が出発点ICCとは、ジェノサイド(集団殺害)・戦争犯罪