欧州研究会 FY2021-7号 「研究レポート」は、日本国際問題研究所に設置された研究会参加者により執筆され、研究会での発表内容や時事問題等について、タイムリーに発信するものです。「研究レポート」は、執筆者の見解を表明したものです。 ドイツを変えた「プーチンの戦争」 2022年2月27日、ドイツのオラフ・ショルツ首相が連邦議会の特別会議で画期的な演説を行った。それまでの政策を転換し、ウクライナへの武器供与、ロシアに対する厳しい経済制裁、防衛費の増額、ロシアへのエネルギー依存からの脱却などに踏み切ることを表明したのである。この演説は、ドイツの安全保障政策の劇的な変化を予告するものであり、国際的にも大きな反響を呼んだ。あるいは、衝撃を与えたと言ってもよいかもしれない。 無理もなかろう。2021年12月に発足したショルツ政権――社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立。各党の