先行するNHKと違って、民放界は「同時配信」が新たなビジネスとなる見通しが立たず、おしなべて慎重だったが、それでも踏み切る決断をしたのは、若年層を中心に急速にテレビ離れが進み、ネット社会への移行が加速しているからだ。 メディアライフの大きな転換点に直面し、「テレビ」のジリ貧が目に見えるようになり、もはや「儲かりそうにないから」と二の足を踏んでいられる状況ではなくなったといえる。 だが、実際に視聴者のニーズがどれほどあるのか、コスト増に見合うだけの収益を確保できるのか、「ネット」における著作権処理はスムーズにできるのか、地方局の広告収入が激減しないか……等々、目の前に積まれた難題は山積している。 日本の放送界は、「公民二元体制」という世界でもまれな業態で発展してきたが、「テレビ」のサクセスストーリーがネット時代にも引き継がれるかどうか。受信料という確固とした財政基盤に支えられるNHKに対し、