糸井さんが 「すばらしい失敗」 とおっしゃるのは、 まあ、そうですね。 一万部を刷って、 八千部が売れ残りですから。 だから、 それからは 置いてくれるお店を増やすことに 一所懸命で、 リュックサックに 『ぴあ』をつめて、 あちこちまわりました。 仲間とノルマを決めあってね。 たとえば 西武新宿線とかの私鉄は ふたりでまわるわけです。 ひとりは一駅ぶんの切符を買う。 もうひとりは入場券しか買わない。 ひとりが次の駅で営業にいく間に、 もうひとりは リュックサックを持ってホームで待つ。 駅員さんに 「本屋さんどこですか」ときいて 「ぴあというものを出してまして……」 十軒まわって 一軒置いてくれるかどうか というぐらいの打率ですが、 それをずっとくりかえしたわけです。 それで沿線を ずっと最後までいくと、帰ってくる。 リュックで 雑誌の山を抱えたひとりは 入場券だけで済むという、 そういうせ