中国河南省の省都、鄭州市にある世界最大の「iPhone」工場での仕事を辞め、歩いて家に戻ると董婉婉さんが決めたのは10月30日のことだった。 董さん(20)は台湾のフォックスコン(鴻海精密工業)が米アップルのiPhoneを組み立てるこの工場の製造ラインで3カ月働いていた。中国では極めて人気の高い仕事だ。 新型コロナウイルスの感染が広がり始めると、フォックスコンは同工場を外部との接触を完全に遮断する「バブル」方式で運営。通路にはごみが積み上がり、食べ物の確保も難しくなっていた。感染した従業員の多くによれば、しばらくの間、食事はパンだけだった。