金婚を祝って2021年に撮った篠倉邦男さん(左)と妻久枝さんの写真=福岡県筑紫野市で2022年8月22日午後3時45分、竹林静撮影 新型コロナウイルス感染者の遺体の感染対策は過剰で、遺族の立場に立っていないのではないか――。8月上旬に感染した妻を亡くした男性から、疑問の声が届いた。妻の遺体は納体袋に入れられ、顔も見せてもらえずにその日のうちに火葬された。同様の対応は、最初に緊急事態宣言が全国に拡大した後の約2年前から指摘されていた。だが、世間が“ウィズコロナ”に転換しようとする今も続く融通のきかない弔いに、男性は納得できないでいる。 男性は、福岡県筑紫野市の篠倉邦男さん(80)だ。「最後に顔を見てお別れさせてもらえませんか?」。8月7日の夕方、市内の火葬場で防護服姿の葬儀業者に懇願した。妻の久枝さん(享年85)が火葬される直前で、東京から長男(47)夫婦も駆けつけたところだった。しかし、業