名古屋に「興和」という企業がある。光学機器、医薬品など幅広く取り扱う名門商社だ。「キャベジンコーワ」で知られる、あの興和である。三輪家が経営する同族系の非上場企業であり、一族にはすでに興和の経営から引退して久しい三輪緑四郎さん(1929年~)がいる。私は2011年、東洋経済名古屋支社勤務時代に、緑四郎さんに興味深い話を伺う機会を得た。 久し振りに「温故知新」を書くわけだが、今回はそのときのエピソードを書き記しておきたい。7月初旬に『不格好経営』のヒットを飛ばしているディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子取締役ファウンダーにインタビューをした際に、2年前のことが脳裏に浮かんだためだ。 DeNAとリクルート まずDeNAのエピソードとは、以下のようなものだ(『週刊東洋経済』7月20日号118~119ページの著者インタビューより)。 ――人材引き抜きをめぐって日本オラクル社長(当時)の佐野力さ