NHKスペシャルの『無縁社会』は、孤独死をよくないものであるとする観点から制作された番組です。老年を一人で生きること、一人で死ぬことをことさら悲惨なことであるかのように印象付ける演出に満ちていました。 しかし、老人の死を自殺という観点から見てみると、まるで違う風景が見えてきます。 福島県精神保健福祉センターの分析によると、高齢者(65歳以上)の自殺は家族と同居している人に多いことがわかりました。高齢で単身者の自殺は全体の5%以下に過ぎないというのです。 調べてみると福島県の高齢単身世帯の割合は7.02%です(総務省統計局 『社会・人口統計体系』 (2008)調べ)。もとより高齢単身世帯が少ないとはいえ、自殺率はさらに少ない5%ですから、本来の比率より3割(*1)も少ないのです。家族と同居の方が自殺のリスクが高まることは間違いありません。(注1 福島県精神保健福祉センターの高齢で単身者の自殺