「僕の弟も、“ひきこもり死”でした。だから兄弟の立場の気持ちがよくわかります」 その話を初めて聞いたのは、4年前の夏でした。私は、神奈川県横須賀市でひきこもりの末に亡くなった、56歳の男性「伸一さん」とそのご家族の取材を進めていました。 記事「56歳ひきこもり衰弱死 父と息子すれ違いの果てに」 その過程で、10年以上親交のあった池上さんに、ひきこもりの“専門家”として話を聞いていた際に、不意に漏れた告白でした。 「伸一さん」が過ごした家 「この家族はうちとそっくりです…。弟に生前、『お兄ちゃん、僕のことは(記事に)書かないで』と言われたことがありました。公にはしていないので、他言しないでくださいね…」 ところが最近になって、池上さんは家族会などの場で、弟や家族について少しずつ語るようになっていました。 その理由を尋ねると、8050問題が進行し、親が病気になったり亡くなったりする局面にさしか