私の恩師が私を育てた方法 ほめたり叱ったりすることで部下が育たない理由をお話しする前に、私がそのことに気づいた原体験をお話ししましょう。 私は子供のころ、とても扱いにくい人間でした。活発で元気なのですが、人の気持ちをくむことを知らず、とても生意気で、落ち着きがなく、自分勝手でわがままで、そのくせ線が細く、傷つきやすいという性格でした。 そんな私に対して、親も先生も、常にハラハライライラしながら、時には叱り、そしてときにはほめたりなどして、なんとか私をまともな人間に育てようとしました。 でも私は、ほめたり叱ったりする行為の向こう側に、大人たちの、自分の都合を押しつけてくる気持ちが透けて見えていたので、結局誰の言うことも心から納得して聞き入れることはできませんでした。 しかし、高校1年生のときの担任の先生は、今までの大人たちとはひと味違いました。この人は、私のことをほめることも叱ることもしませ