昔、「勝手に話し出す黒電話」があった 「有線」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。実はこの質問、答えが世代や出身地によってガラリと変わるかもしれない。 若い世代や都市部の出身者にとっては、「有線」といえば多チャンネルでBGMなどを流している「有線ラジオ放送」(「USEN」に代表される)のことだろう。しかしもっと上の世代、そしてそれほど大都市でない地域の出身者は、「有線」と言われると「ああ、そういえば勝手に放送が流れだす黒電話があったな」と思い出すではないだろうか。 その昔、といっても1960〜70年代にかけてだが、日本には「有線放送電話」という設備があった。いまでこそ日本中に張り巡らされている一般加入電話(いわゆる固定電話)だが、当時はまだ一部の大都市でしか使えなかった。「電話機」そのものはそれほど高価でもないのだが、インフラである「電話線」が普及していなかったためである。 有線放送電話。