原題:The Soloist 監督:ジョー・ライト 原作:スティーブ・ロペス 脚本:スザンナ・グラント 「恩寵」という言葉がこの映画で何度か出てくる。辞書で引くと、それは「(神、または君主からの)愛、めぐみ」とある。 音楽と「神」という概念は、分かちがたくあるのは、その「クラシック」と呼ばれるまでに後世まで聞かれ続ける音楽は、時代を超えた「永遠」にも等しい強度を備えているからであり、その「音楽」は神が与えし「ギフト」を持ち、なおかつ神の「音」を強く求め続けるものにしか与えられない、という概念から来ている、と思う。 「アマデウス」や「敬愛なるベートーヴェン」などでも、「音楽家」と「神」は分かちがたくあり、偉大なる作曲家は「神の愛」を受けた者である、とされる。 新聞記者でコラムニストのスティーブ・ロペスが、偶然街で出会った男は、「二つの弦」のバイオリンを弾きこなす「自称・ジュリアード音楽院出身