監督:堤幸彦 原作:浦沢直樹 脚本:長崎尚志、浦沢直樹 はじめに断っておくと。映画の評価とはあまり関係のない文章になるかもしれない。 浦沢直樹は謎の中心に「空洞」を作り、そこを巡る人のドラマを作ることに長けた作家である。大抵、ミステリーというものはそこを描くのが目的であるのだけれど、浦沢直樹の場合、「空洞」の中身以上にそとのドラマをきちんと作り込むことで、空洞に説得力を持たせようとする。 「MONSTER」はある程度、空洞の中身についてある程度決まった形で進めていたと思うのだけれど、「20世紀少年」に関しては、「自分たちがかつて描いたたわいもない空想」を現実化していく「誰か」がいて、そいつは自分の同級生の誰かである。その「誰か」とは誰?という現在進行形のフーダニットで物語が進んでいくわけだが、その「誰か」自体がまったく想定せぬまま進んでいたと思う。 無論、ある程度「容疑者」を設定しながら進