たとえば檸檬 2012/日本/PG12 監督:片嶋一貴 出演:韓英恵/有森也実/綾野剛/他 「親に何かしてもらった」という人よりも、「親に何かされた」という人の方が声が大きく思える。というのは、親に何かしてもらった人、というのは、それを周囲に親の七光と悟らせぬよう、まるで自分の才能・努力・勇気の賜物であるかのように吹聴する傾向があるからで、そこで親に云々と種をばらす必要も無く、親に買ってもらったシボレーなどをいかにも自分がキャッシュで買ったような顔をしておればよろしいので、必然的に会話の主語が「親」ではなく「自分」になるのである。 反面、親に何かされた人、というものは、才能を潰され努力が正当に評価される環境も与えられず勇気を出そうとすればそれを上回る暴力で肉体的/精神的にぐちゃぐちゃにされた経験のあるもので、が、現し世は人面獣心、そのような事情を汲んでくれる人間を探すのはこれ、燕の産んだ