深町秋生先生の『東京デッドクルージング』を読了。以下長文の感想。ネタバレはない(もしくは関係ない)と思いますが、神経質な方は読了後にお読みください。 物語。2015年、東京オリンピックを控えた東京は下流国となっていて、近隣の千葉や埼玉などは荒みまくり。そこから這い出て、民兵として教育を受けた日本育ちの若者×家族を殺された脱北者×中国の兵隊による、凄まじい殺戮の抗争劇。 まず、これまで深町さんの本を未読の方は、1作目『果てしなき渇き』を併せて読むことをオススメします。登場人物(名称)がリンクしていて、虚構内で世界がつながっていますし、他にも作家のテーマとして重要な共通点がいくつかあります。 『東京デッドクルージング』は、深町先生の小説の中でも、一番暴力描写が凄まじいです。それもスカッとするようなスプラッター的殺戮ではなくて、暴力が激しくなるほどにノーフューチャー度が増して暗澹たる気分になって
デヴィッド・クローネンバーグの新作です。今年の前半は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』がベストかなあと思ってたけど(ちなみに『ノーカントリー』も好きだった)、この『イースタン・プロミス』を観てからは熱に浮かされたようになっています。 これは基本的に、ロンドンを舞台にしたロシアマフィア映画です。冒頭で目を引く、組織の運転手として登場するヴィゴ・モーテンセンが、ファミリーを見送る際の折り目正しい控え方など、儀礼的な仕草は日本の極道映画と近い。忠義と、冷静沈着でありつつ違和感なく同居する柔和さ、そして明晰な頭脳を持つ男が組織で成り上がって行くストーリーも純血種のヤクザ物語といえて、それ自体大変魅惑的で美しいのですが、でも同時に本作独特のフェティシズムも既に始まっています。 物語。14歳の身元不明のロシア人少女が出産の際赤子だけ残して死亡し、少女の日記を手に入れた助産婦のナオミ・ワッツが、善意から赤
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