いうまでもないが、英語は言語の一種であり、表現行為やコミュニケーションのツールだ。基本的には、それ以上でもそれ以下でもない。・・などという理屈が現実には通用しないということは、ちょっともののわかった人ならだれだって知っているだろう。いろいろな意味で英語は、言語の中でも特殊な地位を与えられている。そしてそれは、女性にとってより「特殊」、というわけだ。著者はそれをふまえて、36人のさまざまな立場の女性にインタビューしながら、「英語」と「女性」の関係を探っている。 もちろん、英語が「特殊」なのは、日本の女性が置かれた環境の影響が大きい。典型的には、職業上の有形無形の差別や、出産・育児負担の偏りのように社会参加自体を阻害する諸条件など、「通常」のルートでは逃れられない制約をバイパスする方法として英語を操る能力が必要だと、少なからぬ女性が信じている。さらに、男性も含め今でも抜きがたく存在する西欧優位