まずは、本物の差し迫った危機を味わった欧州から見てみよう。メディアや債券市場がユーロ圏の迫りくる崩壊を当然視していたのは、わずか1年半前であることを思い出してほしい。ユーロ圏では当時、債務問題で主要国と周辺国の間に溝が広がり、政治的・経済的な結びつきが脅かされていた。財政協調の欠如や政治・金融政策の鈍さにくわえ、強国と弱小国のバランスが崩れ、世界最大の経済ブロックは存続の危機に追い込まれた。 しかし、ドイツからの支援と欧州中央銀行(ECB)の大胆な金融政策、そして痛みを伴う緊縮策により欧州は健全さを取り戻し、ユーロ圏崩壊の心配は過去のものとなった。抜本的な改革を経て欧州は快方に向かっている。迫りくる危機そのものが、構造的変化を促した格好だ。ただ市場からの圧力と警報がなければ、ユーロ圏の周辺国は慢心から目を覚まさなかったかもしれず、ECBがより大胆な政策に踏み出すこともなかっただろう。 日本
いわゆるアベノミクスに対する批判は多いものの、景気は拡大基調で推移している。1―3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で4.1%増と昨年10―12月期より伸びが加速。個人消費が堅調に推移したほか、「量的・質的金融緩和」に続く第2の矢である「機動的な財政政策」を背景に政府消費や公共投資が拡大。成長率を押し上げた。 5月は日経平均株価が1万6000円近辺から1万3500円近辺まで大きく下落。ドル円は103円台後半から100円ちょうど近辺まで円高が進むなど、金融市場は大きく動揺したが(6月13日午前11時現在は日経平均1万2500円近辺、ドル円は94円台)、消費者マインドは底堅く推移している。5月の消費者態度指数は45.7と2007年5月以来の高水準に上昇。同月の景気ウォッチャー調査・現状判断DIは55.7と2カ月連続で低下したものの、依然として06年3月以来の高水準にある。 安倍晋三首相は
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