内閣法制局が、集団的自衛権行使を容認する昨年七月の憲法解釈変更の閣議決定に深く関与したにもかかわらず、内部検討の経緯を示した議事録などを公文書として残していないことが二十八日、判明した。将来の検証を困難にする対応には「『憲法の番人』として政府の憲法解釈の監視役を担ってきた法制局が、政権の追認機関に変容しつつある」(野党幹部)との見方が出ている。 西川伸一明治大教授(政治学)は「戦後の安保政策の転換点となる重要な検討事項なのに、なぜ記録を残さなかったのか。常識では考えられないことだ」と指摘した。 閣議決定の内容は、安倍晋三首相が設置した有識者懇談会が昨年五月に行使容認の報告書を提出した後、与党協議会で練り上げられた。与党関係者は、横畠裕介内閣法制局長官の役割について「閣議決定の原案作成を主導した一人だ」と指摘する。