本誌が先んじて報じてきた通り、東芝がついに末期的状況に追い込まれた。この名門企業はどこへ向かうのか。磯山友幸(ジャーナリスト)、小野展克(嘉悦大学教授)、竹内健(元東芝技術者)が、決算延期の舞台裏、原発事業の実情から、銀行団の本音、会社の行く末までを語り尽くす。 「数字合わせ」しかしていない 小野 私は東芝本社で開催された2月14日の会見に出席したのですが、まさに迷走する東芝を象徴する会見でした。 竹内 と言いますと。 小野 綱川智社長は今回、稼ぎ頭の半導体子会社の株について、2割未満の売却としていたのを完全売却もあり得ると急遽変更したのですが、これこそ経営の体たらくです。 そもそも、2割未満の売却ではマイナー出資で買い手にメリットがなく、高い価格が付かない。半導体部門の将来性を考えても、東芝の過半の出資が残ったままでは利益が原発事業の赤字に吸い取られて設備投資が滞り、競争力も失われる。