島根県出雲市の砂原遺跡で見つかった日本最古の石器は、約12万年前の中期旧石器時代に、人類が日本列島を闊歩(かっぽ)していたことを証明した。旧石器捏造(ねつぞう)事件による〈歴史の空白〉を埋め、失われた先史考古学への信頼を取り戻す契機となる成果に、研究者から期待や喜びの声が上がった。〈本文記事1面〉 29日、島根県庁で開かれた記者会見。今回の調査の信頼性を問われて、調査団長の松藤和人・同志社大教授は、「見つかった地層と、石器に付いていた酸化鉄を照合し、一致した」と石器が約12万年前の地層から出土したことを裏付ける証拠を強調。さらに、年代の指標となる火山灰を詳細に分析するとともに、1ミリ単位で発掘をしたことなど、捏造事件を受けて、慎重な調査を進めたことを説明した。 岩宿遺跡(群馬県みどり市)などがある東日本に比べ、西日本は旧石器時代の遺跡が少なく、島根県はあまり注目されてこなかった地域。松藤教