建築家・山本理顕(りけん)。 建築に携わり、建築を学んだことがあれば、その名を知らない人は少ないだろう。 設計を手掛けた「横須賀美術館」や「埼玉県立大学」といった代表作はもちろん、建築家の地位向上や設計者選定の制度確立などのためには訴訟も辞さないほど徹底的に闘うことで知られる。 山本理顕の代表作の一つである埼玉県立大学(©山本理顕設計工場) そんな山本が名古屋で学校法人を相手に2年余りに渡る裁判を争い、未払いだった設計料約5400万円を取り戻す裁判で昨年10月に勝訴。事実上解任させられた学長職の地位を巡る裁判では昨年末に和解に至り、再び学長に復帰できる見通しとなった。 「大学教育の危機と、建築家の役割や職能性を考えたときに、問題提起せざるを得なかった」という山本は、裁判を通じて何を訴えようとしたのか。その顛末をまとめた。(文中敬称略) 名古屋の学校法人が新キャンパスの設計と学長就任を依頼